超短編
何をもって「大きくなった」とするのか、「大きくなったらカブトムシになりたい」と書いた子に訊きたい。
笹舟で旅立つ友に対抗して、紙風船の気球を作りたい。
段々と細くなる螺旋階段を降りて行った先端で、眩暈の向こうを覗き見したい。
交通手段が風船か気球という町に、飛行船で乗り込みたい。
すべての階段が鍵盤の町で、黒鍵だけ踏み鳴らして駆け上がりたい。
「黄金虫よ、私の気分とは無関係に頭の上を景気よく飛び回っておくれ」と頼みたい。