超短編
どうしても封筒からはみ出すと言って聞かない一筆箋に、いっそ溢れんばかりの祝福の言葉を綴ってもらいたい。
眠れぬ夜の思考をタイピングするドワーフを雇い、明け方に出来上がった文書で朝から焚火をしたい。
「暁の黄昏」という名の酒が美味だと聞いたので、あっかんべーをしてから飲みたい。
すべての屋根がドーム型だという町に行って、滑り心地のよい屋根を探したい。
硝子製のヘルメットを被って、ヒヤヒヤしながら散歩したい。
「生まれ変わったら徳利になりたい」と、ぼやく急須と一杯やりたい。
金網で囲まれた空き地に立つ自動販売機で買った賞味期限切れのコーラを飲みながら、不動産登記証明書を音読したい。