モニターに映し出されたのは長く長く小さな小さな数字の羅列だった。
IDを照会するには、この数字をすべて写し、入力しなければならない。
もっと問題だったのは、小さな数字が、円形にびっしり書き込まれていることだった。
どこからどういう順序で写せばよいのか、わからないのだ。
背中の消えず見えずインクも同様だった。皆が、深く大きなため息をついた。
「これでは、ID照会するのは難しいですね」
若者も天道虫も、しょんぼりとしていた。
「擽ったい目に合わせてしまって、申し訳ない……」
どうか気にしないでほしいと、心から伝えた。
「最新の機器であれば、入力せず、画像から自動的に照会できるのですが、この町にはそこまでできる機械はないのです」
歯がゆそうに言う。何か思うところがあるのだろう。
この町やこの家族に甘えられる時間は、もうないのかもしれない。ふとそんな思いが沸いた途端に、青い鳥が叫んだ。