「奇行師と、飛行師と、蝸牛男。こちらが麗しの瘤姫。おっと奇行師、触るなよ」
鯨怪人が大雑把な紹介をすると、奇行師は駱駝の瘤姫の手を取って言った。
「我々とともに奇人変人のキャラバン隊を組もうではないか」
「よろこんで!」と瘤姫が応える。
飛行師は、「背中が重たくなるのはもういやだから、鯨怪人に乗っていこう」と提案した。
蝸牛男は、「せっかくの砂漠の旅なのだから、瘤姫に乗るのが風情だ」と言った。
奇行師は、「隊長の命令を聞け! ひゃっふへイ!」とハイヒールを振り回した。
2013年12月26日木曜日
2013年12月17日火曜日
奇行師と飛行師13
「なんだ、鯨怪人は砂漠でも泳げるのか」
と、蝸牛男ががっかりしたように言う。
「砂漠を泳ぐ鯨怪人、実に奇っ怪でよろしい」
と、奇行師は頷いた。
「ところで瘤姫って美人なのかしら?」
と、飛行師は速度を上げて、鯨怪人を追いかけた。
近付くと、巨体をさらに大きくした鯨怪人が、巨大な駱駝の瘤姫の周りを嬉しそうに泳いでいた。
時折、砂を吹き上げて喜びを表現している。
「皆、久方ぶりのランデヴーを邪魔しないでくれ」
「あら、鯨怪人そんなこと言わずにお友達を紹介して」
と、蝸牛男ががっかりしたように言う。
「砂漠を泳ぐ鯨怪人、実に奇っ怪でよろしい」
と、奇行師は頷いた。
「ところで瘤姫って美人なのかしら?」
と、飛行師は速度を上げて、鯨怪人を追いかけた。
近付くと、巨体をさらに大きくした鯨怪人が、巨大な駱駝の瘤姫の周りを嬉しそうに泳いでいた。
時折、砂を吹き上げて喜びを表現している。
「皆、久方ぶりのランデヴーを邪魔しないでくれ」
「あら、鯨怪人そんなこと言わずにお友達を紹介して」
2013年12月9日月曜日
奇行師と飛行師12
鯨怪人が「駱駝の瘤姫を探す」といって聞かないので、変人奇人の一行は砂漠を延々と飛行していた。
飛んでも飛んでも砂漠しか見えない。奇行師は口数が減り、飛行師は何度も墜落しかかった。蝸牛男は相当に参っていて粘液も乾き、顔色が悪い。鯨怪人は、うわ言のように「瘤姫瘤姫」とつぶやき続けている。
「駱駝の蜃気楼が出た」
奇行師の指すほうを見ると、そこには揺らめく巨大な駱駝。
「瘤姫!」
鯨怪人が砂漠に飛び込み泳ぎ始めた。
飛んでも飛んでも砂漠しか見えない。奇行師は口数が減り、飛行師は何度も墜落しかかった。蝸牛男は相当に参っていて粘液も乾き、顔色が悪い。鯨怪人は、うわ言のように「瘤姫瘤姫」とつぶやき続けている。
「駱駝の蜃気楼が出た」
奇行師の指すほうを見ると、そこには揺らめく巨大な駱駝。
「瘤姫!」
鯨怪人が砂漠に飛び込み泳ぎ始めた。
2013年12月4日水曜日
奇行師と飛行師11
優雅に海上すれすれ飛行しているはずだった飛行師が、いつのまにかフラフラ飛行になっていた。
「しっかり飛べ! 次なる変人を見つけるのだ!」と背中に乗せた変人トリオにドヤされる。それもそのはず変人三人が背中の上で酒盛りをしているのだ。
酒を嗅いだだけで酩酊する飛行師、立派な酔っぱらい飛行である。うとうととしてハッと目覚めるを繰り返すこと幾度、そこは砂漠だった。
「砂漠だ! 砂漠だ! 我が初恋の人、駱駝の瘤姫は今何処!」
鯨怪人が叫んだ。
「しっかり飛べ! 次なる変人を見つけるのだ!」と背中に乗せた変人トリオにドヤされる。それもそのはず変人三人が背中の上で酒盛りをしているのだ。
酒を嗅いだだけで酩酊する飛行師、立派な酔っぱらい飛行である。うとうととしてハッと目覚めるを繰り返すこと幾度、そこは砂漠だった。
「砂漠だ! 砂漠だ! 我が初恋の人、駱駝の瘤姫は今何処!」
鯨怪人が叫んだ。
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