グニュ、とも、ブニュ、ともつかない、奇妙な踏み心地だった。
新しく買ったサンダルは、履いたその日に壊れてしまった。
壊れたというのは正確ではないか。だって革が切れたわけでも、底が外れたわけでもないのだから。
そりゃあ、もう、何度も矯めつ眇めつあちこち検めたから、間違いない。物理的にはどこも壊れていない。
ただ、へんてこな気味の悪い踏み心地が、時折現れるのだった。
一体、このサンダルの前世は何を踏んでしまったのだろう。そう考えながら、真夏のアスファルトを歩く。
最近、よく蛇を見るのは、何故だろうね。
2012年7月25日水曜日
失くした傘を探した話
傘は、雨が降っている間はそれはそれは従順だけれども、雨が上がってしまえば拗ねる。
いや、気がそぞろになるのかもしれない。傘が閉じられる、それはつまり骨同士がひどく接近することだ。これではろくなことはないだろう。
というわけで、雨上がりの夏の夜、傘をどこかに忘れてきてしまった。電車の中かしら、レストランかしら、とあちこち電話で尋ねてみたら、傘はデパートの靴売り場にあった。
よく似た色の長靴の傍で見つかったそうだ。私は靴売り場の店員に丁重に礼を言い、傘と同じ色の長靴を買って帰った。
2012年7月19日木曜日
2012年7月14日土曜日
2012年7月13日金曜日
2012年7月6日金曜日
2012年7月3日火曜日
切り取られた男
ハサミを使えるようになったばかりの四歳の坊やは、紳士服の広告から髭の男を切り取った。
坊やは真剣にハサミを使ったが、どうにもギザギザの男になってしまったので、母にもっと綺麗に切ってくれるよう頼んだ。
そのせいで、髭の男は少々小さくなった。
それでも広告から自由になった男は、坊やの元をあっけなく去った。不本意なスーツではなく好きな格好をしようと考えたのだ。
しかし、男が着られる服というのは、紙でできた着せかえ人形のものだけだったので、男は仕方なく白いワンピースを着ることにした。
そんな男を「かわいい!」と女の子が拾った。女の子はたくさんの服を持っていたから、男はピンクや黄色や水色のワンピースを次々着させられた。
坊やの元に帰る方法は、わからなくなってしまった。