割れたザクロから一粒、実を取出して、彼は空を仰ぎ見た。
目に汁を搾り垂らす。一滴づつ。
私は顔を背ける。あんなに酸っぱい実の果汁を、目に注したら……! ああ、なんということだろう。
彼はうめき声ひとつあげずに耐えているのに、私のほうがずっと混乱している。
「もう、大丈夫だよ」
と声がして恐る恐る振り向くと
ガーネットのような硬い赤い瞳になった彼がいた。
彼の瞳が赤いうちに、契りを結ばなくてはならないのだ。子を成すために。
それを自覚した私は、赤い瞳に吸い込まれた。
2006年4月26日水曜日
2006年4月24日月曜日
2006年4月23日日曜日
2006年4月21日金曜日
2006年4月19日水曜日
眼球
僕たちは貧乏だったから、ボール遊びの時には、眼球をよく使った。
僕の眼球は小さかったので、手や板っ切れを使ってピンポンをした。
キャッチボールにはヨシオの左目が重宝した。
サッカーをしたい時には、アキラの眼球を使った。
アキラはとても嫌がったけれども、頼み込んで右目を借りた。
右目を外してがらんどうになったアキラの大きな眼窩をそこにいるべき眼球を胸に抱えながら覗くと、僕はいつも小便がしたくなった。
慌て茂みを探して、アキラの眼球を傍らに置いて、その視線を感じながら立ち小便をした。
外した眼球が見る風景は、アキラには見えない。
でもそれは、紛れも無くアキラの視線だった。
小便を終えた僕は、わざと勢いよく眼球を蹴った。
今も時々、眼球を外してみる。
ピンポンをした跡が微かに残っている。
アキラの眼球にも、僕の足跡がまだ付いているのだろうか。
僕の眼球は小さかったので、手や板っ切れを使ってピンポンをした。
キャッチボールにはヨシオの左目が重宝した。
サッカーをしたい時には、アキラの眼球を使った。
アキラはとても嫌がったけれども、頼み込んで右目を借りた。
右目を外してがらんどうになったアキラの大きな眼窩をそこにいるべき眼球を胸に抱えながら覗くと、僕はいつも小便がしたくなった。
慌て茂みを探して、アキラの眼球を傍らに置いて、その視線を感じながら立ち小便をした。
外した眼球が見る風景は、アキラには見えない。
でもそれは、紛れも無くアキラの視線だった。
小便を終えた僕は、わざと勢いよく眼球を蹴った。
今も時々、眼球を外してみる。
ピンポンをした跡が微かに残っている。
アキラの眼球にも、僕の足跡がまだ付いているのだろうか。
2006年4月16日日曜日
2006年4月14日金曜日
2006年4月13日木曜日
2006年4月11日火曜日
四月十一日 消える言葉
落書きというは、一度目に付くと気になって仕方ないものだ。
落書きというのは、猥褻な言葉が書いてあることが多いものだ。
そのわりに、ちっともそそらない。
落書きを消すための、この除光液の匂いのほうが、ずっとクラクラする。
落書きというのは、猥褻な言葉が書いてあることが多いものだ。
そのわりに、ちっともそそらない。
落書きを消すための、この除光液の匂いのほうが、ずっとクラクラする。